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化学品プラントにおけるプロセスデジタルツインを開発、インドネシアの塩化ビニルモノマー製造プラントにて運用を開始
AGC(AGC株式会社、本社:東京、社長:平井良典)は、化学品プラントにおけるプロセスデジタルツインを開発し、化学品製造・販売子会社であるアサヒマス・ケミカル社(本社:インドネシア)の塩化ビニルモノマー(VCM)製造プラントで2023年4月から本格的に運用を開始します。
プロセスデジタルツインとは、実プラントの運転データをプラント情報管理システム(PIMS)*1経由でプロセスシミュレータ*2にリアルタイムに取り込み、即時に高速計算することで、仮想空間上にプラントの現在の状態を再現するテクノロジーです。本システムの活用により、これまで取得できていなかったデータや、リアルタイムに参照できなかったデータをシミュレーション上で推算し、運転状態や装置性能などを可視化することが可能になります。また、迅速な状況把握とデータに基づいた意思決定が可能になり、プラントの安定操業に大きく寄与することが期待されます。
今回開発したプロセスデジタルツインは、反応から蒸留精製までの幅広い工程をカバーしつつ、実プラントの再現度を高めるために以下の工夫を施しています。
1)最小ステップの反応である素反応*3まで考慮した厳密な反応モデルを組み込み、操業管理上の鍵となる副生成物の挙動まで再現
2)ダイナミックシミュレーション*4を行うことで、プラントの安定した状態だけでなく、変化していく過程の状態も再現
3)実データを基に汚れ等の影響による装置能力の経時的な変化を自動補正することにより、実プラント状態の再現性を向上
当社は化学品プラントにおけるDXを“見える化” “わかる化” “変わる化”の3ステップで推進しています。これまでに“見える化”の取組みとして、運転一括管理システム「CHOPIN(ショパン)」やプライベートLTEネットワークを導入してきました。本取り組みは、”見える化”の次の段階として、プロセスデジタルツインでプラントの現状を解析し(わかる化)、高度なオペレーションを実現する(変わる化)ものです。
今後は、プロセスデジタルツインをより多くのプラントへ展開することで、オペレーションの高度化による一層の安定操業を目指していきます。
AGCグループは、長期経営戦略「2030年のありたい姿」を実現するため、中期経営計画 AGC plus-2023 を設定しており、その主要戦略の1つとしてDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速による競争力の強化を掲げています。AGCグループはこれまで、製造・開発、営業・マーケティング、物流などの領域でデジタル技術を活用し、ビジネスプロセスの変革に取り組んできました。今後もあらゆる業務のビッグデータを活用し、ビジネスモデルを変革させることで競争優位性を築き、お客様、そして社会に新たな付加価値を提供していきます。
*1 プラント情報管理システム (PIMS):プラントの運転データを収集・蓄積するデータベースシステム。
*2 プロセスシミュレータ:コンピュータ上に化学プラントのプロセスモデルを構築し、化学工学に基づいて計算を行うシミュレータ。
*3 素反応:化学反応を構成する最小ステップの反応。VCMを生成する反応は、ラジカルという不安定な化学種が関与する多数の素反応の組み合わせで表現される。
*4 ダイナミックシミュレーション:プラントの動的な変化を計算により再現すること。
<ご参考>
◎本件に関するお問い合わせ先:
AGC株式会社 広報・IR部 小川 知香子
担当:藤山
TEL: 03-3218-5603